今日まで、下垂体を介したさまざまなホルモン、そしてそれを制御する視床下部ニューロンが同定されてきました。しかし、世の中のかなりの研究が哺乳類の研究に偏っており、脊椎動物全般で理解されているとはいえません。多くの研究者は、哺乳類の結果が他の生物にも適用可能だと思っています。実際に適用可能なことも多いですが、私が魚を用いて研究してきた結果、脊椎動物の中でも違うから面白いことがたくさんわかってきました。
生殖のシステム、ストレス応答のシステム、体色変化のシステムetc…
さまざな制御システムが脊椎動物には存在しますが、それぞれの適応戦略や、進化的位置によって異なるシステムが作られています。






Oocyteクランプの実験セット。ゼノパス卵母細胞に強制発現させたチャネルの性質を解析する。
ポリプテルスセネガルス。繁殖まではOK。次は遺伝子導入。
ピラニアナッテリー。人工授精、遺伝子ノックアウトまで確立。
クリオスタット
パッチクランプ・イメージング用顕微鏡。右はプラーといって、ガラス管を熱で引き延ばし、インジェクション用の針やガラス電極を作る装置。
ちょっとしたプログラミング
シングルボードコンピューター(Raspberry Piなど)は、非常に安価で自動処理を手伝ってくれます。ちょっとしたプログラミングや、電子工作によって、自分の手間を大幅に削減できたりします。世の中にある使えるものは研究にどんどん使っていきます。プログラミングも(バイオインフォマティクスを専門にやるほどでなければ)自分で多少組めるようになります。
Raspberry piをベースに作成した、自動動画撮影装置。電気ショックや光などの外部の装置も自動で操作可能。
研究材料
メダカをはじめとする小型魚類の強みのひとつは、自分が知りたいと思う神経回路について、自分一人の手でトランスジェニック・ノックアウト個体の作出からパッチクランプ、Ca2+イメージングといった生理学的解析までの一連の研究を行えることです。脳自体が小さくスライスを作成する必要がないため、神経回路を遮断しない電気記録が可能です。
非モデル動物を用いた研究
モデル動物だけでできることは限られています。そこで、モデル動物でできないこと、知りたいことは非モデル動物に、できるだけモデル動物のテクニックを応用して研究を進めます。現在は、ピラニアやポリプテルスなどを使っています。受精卵を得ることさえ出来れば、ゲノム編集や遺伝子組み換えなどの技術が利用可能になるので、研究の幅が大きく広がります。これら、モデル動物、非モデル動物を用いて、以下のような研究を行っています。このほかにも、まだ公表できないプロジェクトもあるので、詳細はお尋ねください。